就職活動を始めるにあたって、
まず初めに「自分を知ること(自己分析)=自分自身を創っているベースを知る」ことは、非常に重要であります。
私たちは生まれた時は人間というハードを持って生まれてきていますが、自分自身の性格や長所・短所、好き・嫌いなど自分自身のベースとなるもの(遺伝もありますが)は、様々な経験・体験によって作られます。
今の自分自身を創っているものが何か!を知るためには、 『自己分析=自分自身の棚卸し』 を行なう必要があります。
自己分析を行うことによって、 『現在の自分自身を創っているベース』 を知ることができます。
その結果として
・ 自分の 『興味』 ⇒ 自分の好きなこと
・ 自分の 『能力』 ⇒ 自分のできること
・ 自分の 『価値観』 ⇒ 何を大切にするのか(何が自分を動かすのか)
ということを知り、それをベースに自分自身を表現することができるようになります。そういった点からも、自己分析はとても重要なことなのです。
◆自分の好きなこと=『興味』
これから就職活動を経て、社会に出るにあたり大切な事は、自分が希望する仕事が自分の好きなことと一致するかどうかということになります。
私たちの行動の基準はとてもシンプルであり、『 快楽(好きなこと)を求め、不快(嫌いなこと)を避ける』
ように行動します。ですから、自分自身が選択した仕事(業界・業種・企業)が好きでなければ、絶対に長続きしません。(好き・嫌いを超越した明確な目的・目標があれば話は別ですが・・・)
実際のデータを見ても、大学を卒業して就職した学生の30%以上が、3年以内に退職しているという事実があります。
そのため、安易に会社名や給与だけを見て就職を決めるのではなく、しっかりと自己分析を行ない、自分自身のことを理解し、働く目的・目標を明確にして自分自身に合った会社選びをするとが非常に重要になります。
実際に、自分の好きなことであれば、どんなに辛いことでも必ず乗り越えることができるはずです。このように、自分自身の『好きなこと=興味』をしっかりと理解して下さい。
そして、自己分析が終わった後には、『私の好きなこと=興味のあることは ○○です!』と一言で言えるようにして下さい。
◆自分のできること=『能力』
これから就職活動を経て、社会に出るにあたり必要なことの2つ目は、『自分のできること=能力』を理解していることです。
自分の好きなこと(興味)を行なうことは大切ですが、自分のできること(能力)が伴わないと、自分の好きなこと(興味)でも実際に行なうことはできないというのが現状です。
また、私たちは、『 快楽(好きなこと)を求め、不快(嫌いなこと)を避ける』ため、いくら興味があっても、
実際に能力が伴わなければ、いずれ苦痛に繋がってしまうことでしょう!
ですから、この自分のできること(能力)をたくさん知っておくことが重要です。
資格や技術・実績(部活などの成績)など
リーダーシップ・コミュニケーション能力・行動力など
このように『自分のできること(能力)』については、資格や技術・実績(部活などの成績)などの『テクニカルスキル』のように、形で表現できるもの(有形)と、リーダーシップ・
コミュニケーション能力・行動力などの『ヒューマンスキル』
のように、性格的なもので、形で表現できないもの(無形)が
あります。
このどちらとも、『長所・自己PR・特技』などといった、自分を企業側に売り込む際にとても重要な要素に
なりますので、その能力を得た・発揮した時のエピソードと共に、有形・無形の両方をしっかりと
把握しておいて下さい。
学部生などのテクニカルスキルが低い場合には、『ヒューマンスキル』が重要視されますし、大学院生などは、『テクニカルスキル』が重要視されます。 このように、自分自身の『できること=能力』をしっかりと理解して下さい。そして、自己分析が終わった後には、『私のできること=興味のあることは ○○です!』と一言で言えるようにして下さい。
◆何のために働くのか=『価値観』
就職活動の本当の目的を明確にしていますか!?
これから就職活動を経て、社会に出るにあたり必要なことの3つ目は、『何のために働くのか=価値観』が明確になっているかどうかです。
実際の就職活動において、この価値観が明確になっていないまま活動している人がいかに多いことでしょうか!こういう人は、実際に会ってわかるばかりでなく、エントリーシートなどの文章からでも読み取れたりもします。
私は、常に学生に対して、『就職活動は内定を獲得することが目的ではない!』と伝えています。
就職活動は内定を獲得することが目的でも、就職先を探すことが目的でもありません。
それでは、就職活動の目的とは何でしょうか?
それは、『何のために働くのか=価値観』を明確にして、それに合った会社選びを行なうことなのです。すなわち、内定を獲得する=会社に入ることは『目的ではなく手段』なのです。
このことを多くの人が知らない・理解しないまま、就職活動を行なってしまっているということです。
では、就職活動の目的である『何のために働くのか=価値観』とは何でしょうか? それは、みなさんが働くことによって、自分自身の得ようとする物・状態のことです。 逆を言えば、それぞれの価値観によって、働く目的が大きく変わるということです。
・自分が学んだこと・経験したことを活かして、社会に貢献する
・自分が住み慣れた場所の、環境を取り戻す
・食を通して、子供の笑顔を増やすため
・スポーツを通して、子供に、仲間の大切さや、身体を動かす楽しさ、勝つことの喜びを伝える
・とにかくお金を稼いで、マイホームを建てる
・家族を養う生活費を稼ぐため
・将来、独立を考えているため、そのノウハウと人脈を身につける
・キラキラと輝いた目をした、子供の手本になるような大人を創るため
自己分析の重要性を理解して、就職活動ができていますか?
このように『働く目的=価値観』が明確になってこそ、具体的目標が設定できるのです。社会人になって、 自分自身で決めた目標も持たずに、仕事をすることはありません。つまり、目的が明確になってから、具体的な目標設定を行なうということです。会社に入ってから目標を決めるのでは、順序が違います。
・30歳で、年収1000万円を稼いでいる
・燃料電池開発のスペシャリストになっている
・英会話のスキルを活かして、世界を飛び回って仕事をしている
・○○という資格を取得し、独立のための実務を学んでいる
・○○という車と、年間3回海外旅行に行き、充実した生活を送っている 等
そして、自分が働く目的・目標が明確になってから、『会社選び=手段・方法』を 探すということです。
この順序を理解していないと、本当に自分に合った仕事を見つけることができません。
・30歳で1000万円稼げる、業界・業種・会社はどこか?
・燃料電池のスペシャリストになるなら、どの自動車メーカーにするのか?
・資格を取得する際に、会社が支援してくれるのはどこか?
・休みが比較的取りやすい業界はどこか?
・商社の中でも、一番社会貢献に繋がる会社はどこなのか? など
このように、自分自身の『何のために働くのか=価値観』をしっかりと理解して下さい。
そして、自己分析が終わった後には、『私は ○○のために働きます』と一言で言えるようにして下さい。
その上で、3年・5年・10年後の目標などを明確にし、それを達成できる会社選びを行なうということを理解して就職活動に望んで下さい。
自己分析の9つのポイント
① 『自分自身のベース』となっているものを知る。
自分のベースを知るということは、TOPページにもあるように、『過去・現在・未来を知る』ということになります。この『知る』ということは、何となく感覚的に知る ということではなく、しっかりとした自己分析によって、具体的な体験・経験をしっかりと踏まえた上での理解のことを指します。
『過去』の体験・経験の蓄積によって出来上がっている『現在』をしっかりと理解し、『未来』の目的・目標を明確にするということが『自分のベースを知る』ということになります。これには、しっかりとした自己分析は欠かせません!必ず、ワークシートを実施して自分のベースを知って下さい。
最近はWebコンテンツなどの進化に伴い、簡単にWebでの自己分析・適性検査などが可能になっています。しかし、簡単に行うことができるということは、それだけ細かいチェックができないということにもなります。
Webでの自己分析・適性検査を行って満足するのではなく、しっかりと自分自身と向き合う形のワークシートなどを必ず行って下さい。
② 自分自身の『長所・短所』を知る
自分自身のベースを知ることができたら、就職活動で必ず表現することが必要な、『長所・短所』を理解して下さい。企業側があなたのことを知ろうとする際に、必ず聞かれるのが『長所・短所』になります。特に、長所の部分については、自己PRの部分とも重なることが多く、時間をかけて理解することが
必要です。その際に、長所にまつわるエピソードも併せて表現することが必要となります。
全くあなたのことを知らない人に対して、自分の長所をしっかりと理解してもらうためには、実際の出来事に合わせたエピソードを説明することで、ようやく理解できるからです。ですから、必ず長所に結びついたエピソードを、過去の出来事から洗い出して、相手に伝わるように表現して下さい。
例えば、『自分で決めたことは、どんな困難なことがあってもやり遂げる』という長所を表現するとします。
その場合の短所は『目標達成に集中し過ぎてしまうため、時々身体に負担をかけすぎてしまうことです』のような現を行うことで、短所として見られないばかりか、長所を引き立たせる効果もあります。この場合は短所の前に、『時々・たまに』などという一時的な表現をつけることがポイントとなります。
③ 自分自身の『好きなこと・嫌いなこと』を知る
就職活動を行なうにあたって、好きなこと・嫌いなことを知ることがどうして必要なのか?そう思われる人もいるかも知れません。
社会人として仕事を行う上で、好きなことばかりを仕事にできないということは、理解できることと思います。しかし、これはとても重要なことなのです。それはどうしてなのでしょうか?
私たちの行動の基準は大きく分けて2つに分かれます。
・快楽を求める・・・自分が好き・楽しいと思うことを求める
・苦痛を避ける・・・自分が嫌いなこと・辛いことから逃げる
好きなことなら、最終的に自分の好きという結果を得られるため、どんな苦労にも耐えることができ、反面、嫌いなことなら、どんなに大切・必要と思っていても、避けよう・逃れようと思ってしまうのです。
さらに、これらは『無意識の領域』で起こってしまうため、注意が必要なのです。
そのため、自己分析の過程において、『無意識の領域』で起こってしまうことを『意識化』する必要があるのです。これは、とても重要なワークになりますので、必ず実施して下さい。
入社後にすぐに退職してしまう人などは、最初からここに問題があるのです!
・本当は、自分が苦手・嫌いな仕事だけど、大きな会社だから入社した!
・実際の仕事内容を細かく理解せず、雰囲気で入社を決めたが、実際は仕事が辛い!
・仕事が全く楽しくない!頑張っても先が全く見えない! など
こうならないように、自分の好き・嫌いはしっかり把握しておいて下さい。
④ 過去の『成功体験』を知る
前に書いたように、自分自身の『成功体験』というものは、自分自身の脳に『快楽=プラス要因』として強烈にインプットされています。
そのため、どんなに困難なことがあっても、最終的に成功に繋がったものであれば、特に強く印象に 残っています。自分の中の『成功体験』と、そこに辿り着くまでの過程をしっかりと理解することで、似たような状況ならば、簡単に乗り越えていくことができると思います。
その積み重ねこそが、今の自分自身の性格に大きく影響していることになります。
ですから、『過去の成功体験とその過程から学んだこと』をしっかりと洗い出して下さい。
⑤ 過去の『挫折体験』を知る
成功体験と反対に、『挫折体験』というものは、自分自身の脳に『苦痛=マイナス要因』として強烈にインプットされています。
ですから、同じような場面になると、どうしても苦痛を感じ、逃げたくなってしまうのです。
しかし、私たちには『学習能力』が備わっています。赤ちゃんの頃から、失敗から学び、大きく成長してきたのです。
ですから、単純に挫折体験だけを取り上げるのではなく、『過去の挫折体験と、その過程から学んだこと、そしてどのように成長に繋がったのか』をしっかりと洗い出してください。
⑥ 『他人から見た自分』を知る
自己分析を行っていく上で、必要なことは自分自身を理解することです。
様々な経験や、自己分析のワークを行うことで、自分自身のことが具体的にわかってくることと思います。しかし、自分自身の経験をベースにしたものだけでは、どうしても偏りが出てしまうこともあります。そこで、自分から見た自分『自己分析』に加えて、他人から見た自分『他己分析』を行うことをオススメします。
形としては、インタビューやアンケートのような形式で、自分についてコメントをもらうようなものが一般的です。このことで、『自分から見た自分』と『他人から見た自分』がわかるようになり、より広い視点での自分自身への理解が深まることになります。
就職活動では、他人に対して自分のことを表現することが主となりますので、非常に重要なワークになります。そしてこのワークを通して、『自分の軸』がしっかりとでき、就職活動を行なう際の大きな武器になると思います。
⑦ 『自分を動かすもの・大切なもの』を知る
『自分を動かすもの・大切にするもの』この部分だけを見ると、漠然としていますが、言い換えると、『働く目的・目標=自分を動かす原動力・得ようとするもの』と考えて下さい。
大きくまとめてしまえば、『何のために働くのか=働く価値観』のようなものです。
私たちは、人それぞれ、「このためなら頑張れる・これを手に入れよう」というものが異なります。
お金・持ち物(家・車・時計など)・地位・名声・生活・他人
からの評価・趣味・仲間との絆・家族・心の繋がりなど・・
仕事をしていくことは、この 『働く目的・目標』を得るために働くということが非常に大きな要素になります。ですから、自分の大切なものを知ることで、働く目的が明確になり、それにより具体的な業種や会社の決定に繋がることと思います。
ですから、自己分析の際には、働く目的=『自分を動かすもの・大切にするもの』が何かをしっかりと理解して下さい。
⑧ 『5年後・10年後の自分』を知る
会社選びに失敗する人の多くは、就職活動の段階で、『内定を獲得することが目的』になっているということです。ですから、目先のテクニックなどに頼ってしまい、働く目的・目標もないまま、ひたすら内定をもらうことに労力をかけるのです。借りにそこで内定をもらったとしても、待っているのは、入社後の理想と現実のギャップということです。
ですから、自己分析のポイントを押さえて自己分析をすると共に、自分の5年後・10年後の目標・イメージを持って下さい。
これらは、何の情報も持たずにできることではありませんので、会社説明会・企業訪問などを積極的に行い、自分が理想とする社員像を見つけ、5年後・10年後をイメージしやすいように、様々な情報収集を行ない、目標設定を行って下さい。
⑨ 『自分の夢』を知る
今までの自己分析のポイント理解・実行し、それを整理して自分自身の理解が深まった段階で、『自分の夢』を明確にしましょう!
自己分析を行うことで、今まで漠然としていたものが、具体的になっているため、自分の夢も見つけやすくなっていることでしょう!
仕事上の夢はもちろんのこと、家族・物・友人関係・余暇・趣味などといった幅広い分野での夢を明確にしてみるとよいでしょう!
考えるだけでもワクワクし、社会に出ることが楽しくなるはずです。
そのためにも、しっかりと自己分析に時間をかけて自分自身を理解し、自分の夢を叶えるための第一歩にして下さい。